・・・そういえば最近、富沢繁『台湾終戦秘史』(いずみ出版)という本を買った。富沢繁という名前は、光人社の戦記ものの本を読む人なら知っているはずだ。
兵隊よもやま物語―用語で綴るイラスト・エッセイ (光人社NF文庫)
- 作者: 富沢繁
- 出版社/メーカー: 光人社
- 発売日: 1996/09/01
- メディア: 文庫
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・・・大日本帝国の兵士の生活を淡々とイラストつきで紹介するのが↑この「よもやま」シリーズ。
そんな富沢氏が80年代にひっそりと出版していた、大日本帝国統治時代末期の台湾に関するエピソード集。当時を知る台湾の住民からの聞き取りもある。これがなかなか面白いので、何回かに分けて徐々に紹介していこう。
たとえば、大日本帝国が台湾の米の生産を拡大しながらも、大地主制度を放置したため、米の大産地たる台湾で米不足と小作人の貧困が進行した件について・・・
>「私は公学校時代まで家庭が貧しかったこともあるでしょうが、満足に米を食べたことは記憶にありません。食事は毎日カユばかりでした。発育盛りの少年時代でしたので、いつも空腹がついて回りました。幸い台湾は様々な果物が豊富なので、何とか過ごすことが出来ました。もし台湾に果物というものがなかったら、餓死者や栄養失調者が出て、もっと反日感情がひどくなったことでしょう。」(台南市、呉氏談)
・・・「一視同仁」とは名ばかり、職場や進学や軍隊内部で歴然と存在した台湾人差別についても、数々のエピソードを紹介している。また台湾人が「大日本帝国の軍人として、同じ中国人と戦わされる」という悲劇に言及したことは特筆すべきであろう。この話はまだ続く。