榊莫山先生をしのぶ

・・・「よかいち」のロゴやCM、NHK連続テレビ小説のタイトルなどで世間に知られ、著書は100冊を超え、東大寺をはじめ各地に碑を残す書家の榊莫山先生が、先日84才でなくなった。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A6%8A%E8%8E%AB%E5%B1%B1
東大寺の碑はこちら　http://naranokoto.seesaa.net/article/123644865.html

＞漢字は、一字で、詩やねん。
http://www.enpitu.ne.jp/usr5/bin/day?id=54909&pg=20100623

・・・先生の字というのは、書道をかじった人ならわかると思うが、まるで子どもの書いた字のようでありながら、真似して再現してみようとすると全く不可能というしろもの。あの「くにゃり」とした線や墨のひろがりを生み出すために、どれだけの技巧が集約され、あるいは捨てられてきたのか。晩年はああだが、先生の若い頃の書を見ると超絶的に上手い。いうなれば先生は書道版のピカソみたいな人だった。

＞思い通りにできる、っちゅうのは、
＞決まっていっぱい失敗した後や
（18年ぶりとなる阪神タイガースの優勝に寄せて
『日刊スポーツ』　2003.9.16）
http://www.meigen1000.com/691-700.html

権威的なものを求めず、弟子も取らなかったが、東大寺で部屋を借りて仲間を集め、書を持ち寄り合評会みたいなものを行っておられたという。先生の書を見ると、「筆で文字を書く」ということに根源的な喜びがあることに気づかされる。墨と筆と紙で、自分も跳ね回って遊びたくなる、そんな書であろう。

＞インタビュアー「先生はお忙しいそうで」
＞莫山「ああ、忙しい。裏山のウサギやキツネと遊ばなあかん」
http://yaginome.jp/yagicolumn6.html

・・・なお余談ながら、wikipediaにもあるとおり、先生は高校教員をしていた時代があり、教職員組合の経験がある。ノーベル賞受賞者の益川先生と同様、「日教組が生んだ偉人」のひとり、ということになるね（＠∀＠）

莫山の寒山拾得

自家菜園の愉しみ (ランティエ叢書)