「くだらない漫画」一代
・・・この際だから言っておくが
臼井儀人の漫画というのは本当に「くだらない漫画」だ。いや正確に言うならば「くだらない人間ばっかり登場する漫画」だ。それこそ「だらくやストア物語」から「クレしん」にいたるまで。くだらない人間が、くだらない目先の欲得や見栄を追いかけて破綻する話ばっかりだ。そのうえネタの駄洒落も読んでいて泣きそうになる。なんなんですか「ロード・オブ・イカリング」ってのは(@∀@)本当に呼吸するかのようにくだらないネタを吐き続ける人物だった。毎回読んでは呆れかえった。あ、でも、ねじり鉢巻にフンドシきりりの兄貴が太鼓をたたきながら明日の天気を予想する「暴れ太鼓天気予報」ってのにはちょっとだけ笑ったかもw
▼クレヨンしんちゃんに登場する架空のテレビ番組一覧
http://yaplog.jp/otgm8-10/archive/83
風向きがなんとなく変わったのは、やはり松坂先生の恋人のカメラマンがテロで死ぬ・・・いや、死んだよなアレは?・・・あたりだろうか。いつもの「アクションようちえん」の日常に暴力的に挿入されたエピソードは、読者を大いに困惑させた。「オチはどこだ?」と。
あのエピソードを思い起こすたび、俺は妙な不穏さを感じた。「アメリカとの軍事同盟」や「イラク侵略戦争」に加担した国の人間であってみれば、「親しい知人がテロで死ぬ」というのはまったく普通にありえることだ、と頭ではわかっているのだが、『クレしん』にそれが登場する、というのは不思議にイヤな雰囲気だった。
結局、あの件についてのオチはなかった。これからもない。
・・・「くだらない人間が、くだらないことに血道をあげる」というのは、それはそれで人間の真実ではある。『クレしん』が韓国からスペインまで意外に多くの国々で親しまれたのは、やはり内容に普遍性があったから、ということだろう。ただ、何かそればかりではない「まだ見たことのない何か」が、臼井儀人の漫画に浮上してきそうな気配があった。俺はそれを読みたかったのだが。
▼【訃報】臼井儀人さん 51歳…漫画「クレヨンしんちゃん」作者 群馬・荒船山がけ下の滑落遺体、身元確認
http://mainichi.jp/enta/cinema/news/20090921k0000m040081000c.html