「鳥濱トメさんに国民栄誉賞を」という侮辱
- 作者: 赤羽礼子,石井宏
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2001/05/01
- メディア: 単行本
- クリック: 19回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
・・・鳥濱トメさんといえば、鹿児島県知覧で食堂をやっており、特攻隊員たちの世話をしていたことで知られる。これは彼女の評伝なのだが、むしろ興味深いのは彼女の戦後の人生だ。
駐留軍として米兵がやってきたとき、町の有力者は「米兵が悪さをしないように」ということで、トメさんの食堂に米兵の世話を強引に押し付ける。当初は嫌々引き受けたトメさんだが、二十歳前後の若い米兵たちを相手にするうち、ついつい「彼らも故郷を離れてさびしかろう」と情がうつり、また米兵たちもトメさんを「ママ」と慕うようになる。
彼らが知覧を去るとき、涙を流して彼女と別れを惜しむシーンこそが、実はこの本の白眉ではないかと思われる。あれほど特攻隊員たちが殺戮することを望んだ米兵たちもまた、「鬼畜」などではなかった。ならばいったい、何のための「特攻」であったのか。
なお、石原慎太郎の映画『僕は、君のためにこそ死にに行く』では、このシーンは登場しないようだ(@∀@)
・・・このほかにもトメさんは、身寄りのない母子や孤児、時には前科持ちの宿無しまでも家に連れてきて、自分で食えるようになるまで面倒を見たという。
国家が犠牲にした者、国家が見捨てた者たちを放っておけず、淡々と「拾って」きた、この肝のある「気のいいおばちゃん」に対して、果たして「国民栄誉賞」はふさわしいのか。
▼石原都知事は、宮沢喜一元首相(87)に「トメさんに国民栄誉賞を与えてほしい」と進言したそうだが「にべなく断られた。この人は、のたれ死にするだろうと思ったが、政治家として、のたれ死にしましたな。特攻隊員の罰が当たったと思う」・・・
http://d.hatena.ne.jp/claw/20070426#p1
・・・結論から言えば、それを彼女に与えようという発想こそが、彼女に対する侮辱であろう。(@∀@)
▼国民栄誉賞
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E6%B0%91%E6%A0%84%E8%AA%89%E8%B3%9E
>また授賞については創設当初から「支持率低迷に悩む、時の内閣の人気取りの道具ではないか」との批判がなされていた。また、没後追贈者が多いことに「なぜ生きているうちに授与しないのか」との批判も多い。
>これは「授賞基準が不明瞭」であることが最大の原因である。そのため、常に授賞者の選考がバランスに欠けるなどの批判の種となる。例えば、長谷川町子が授賞されているのに、漫画文化のパイオニア的存在である手塚治(手塚治虫)に贈られていないことや・・・
・・・
>鈴木一朗(イチロー)への授与が検討された際(2004年)に、時の官房長官・細田博之は授賞基準について「確たる基準がなく、その時々の判断。ホームラン記録の王貞治氏は授与されたが、野球で大変な実績を残した長嶋茂雄氏には贈られていない」と述べた。
・・・わざわざ賞をくれてやろうなどというのは、単なる自己顕示のためにトメさんを利用しているにすぎない。まして、よりによって国民栄誉賞などという、思惑つきの賞を持ち出すセンスが腐っている(@∀@)
・・・本当にトメさんを尊敬するのであれば、彼女と同じように行動すればよい。孤児や母子家庭や累犯者の面倒を見たり、横須賀あたりのGIの世話をしてやればいいのだ。(@∀@)もっとも、手前の隠し子ですら十数年も認知しなかった都知事には、さぞかし難しいことではあろうが・・・。
・・・石原慎太郎と宮沢首相(当時)との対話も、実際はどうだったのかわからない。
「にべもなく断られた」というのも、都知事がそう言っているだけのことだ。
>トメさんは、平成4年(1992年)4月22日、89歳で死去。同年5月7日、石原さんは首相官邸で宮沢喜一首相と会い、トメさんに国民栄誉賞をおくるように進言しました。宮沢首相は、「結構ざんすねえ。ただ、こういうものは、国民の側から声があがってくると、よろしいんですけどね」と、乗り気ではありませんでした。
http://oshimas.iza.ne.jp/blog/day/20060904/
>「菩薩のようなトメさんが亡くなった時、当時首相の宮沢(喜一)さんに『国民栄誉賞をあげてほしい』と言ったが『どなたですか、きりがありませんからね』と一蹴された」その時の怒りがいまも収まっていない。
・・・さあ、どれが本当だ?(@∀@)
・・・今日も楽しく都知事ネタ。
▼慎太郎都知事怒った 東知事の「傲慢」発言を一蹴 東京都の石原慎太郎知事(74)が27日、宮崎県の東国原
http://www.asyura2.com/07/senkyo34/msg/112.html
>(ひがしこくばる)英夫知事(49)のホームページ(HP)上での「東京の傲慢(ごうまん)は復活した」との発言に対し、「田舎もんが東京のことを偉そうに言わん方がいい」と言い放った。「傲慢」発言については、東国原知事が複数のメディアで「傲慢なのは石原知事ではなく、保守的でありたいと願う都民」などと説明。この弁明に、石原知事は不快感を露骨に示し「言うことがあるなら、オレの目の前に来て言えばいい」と“直接対決”を突きつけた。
・・・
>しかし石原知事は、東国原知事の“弁明”を「つじつまが合わない。日本語になってないな。もう1度、勉強してメッセージを出した方がいい」と真っ向から否定。「都民が保守的でありたい? そりゃいいものを残すのが『保守』であり、悪いものを直すのが『改革』でしょ。両方やっているじゃないですか」と説明した後、ついにキレた。「どういう人か知らんけどさ。あまり田舎もんが東京のことを偉そうに言わん方がいい」
・・・すばらしい傲慢っぷりをありがとうございます(@∀@)
(つづき)
>石原知事は、当選後の会見などで阪神大震災発生時の兵庫県知事の対応を「首長の判断が遅かったから2000人余計な人が死んだ」と批判したことについて、「ちょっと数字が違うかもしれない。(知事選の選対本部長だった)佐々淳行さんの受け売りだった」と釈明した。
・・・都合がわるいと「人のせい」(@∀@) 「ババアは有害」発言の時もそうだったね。
(つづき)
>石原知事の発言に対しては、発生時の兵庫県知事だった貝原俊民氏が「判断の遅れではない」と反論する手記を公表している。
・・・こういう暴言はメディアに露出することを狙って半ば意識的にやっているわけで、メディアの方もネタがほしいから無批判にそれを流しており、まあ一種のヤラセといえなくもない。しかし本来、政治家やメディアというのは、ほかにもっとやることがあると思うのだが。(@∀@)