▼終戦戦記念日:脳梗塞の児童作家・長崎源之助さん、声絞り出し平和訴える/「よこはま文庫の会」の朗読劇
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090815ddm041040056000c.html
>終戦記念日の15日、児童文学作家の長崎源之助さん(85)が主宰する 「よこはま文庫の会」の朗読劇が横浜市磯子区で上演される。
>長崎さんは約20年前から毎年この日のあいさつで平和への思いを訴えてきたが、 昨年末に脳梗塞(こうそく)で倒れて半身不随になった。
> 「まだ語らなければならないことがある」。
>入院先で毎日、出なくなった声を取り戻すためリハビリを続け、今年も壇上に立つ。
>長崎さんは中国での戦争体験を基にした戦争児童文学を中心に、これまで100冊以上を世に出した。 また、家庭文庫に取り組む人たちでつくる「よこはま文庫の会」を設立。 約40年間会長を務め、終戦記念日の朗読劇を続けてきた。
>今年は昨夏発表した「汽笛」を女優の阿部寿美子さんが朗読する。
>「汽笛」は創作活動の原点となった実体験をつづった作品。
>1946年2月、復員した長崎さんは体を壊して長崎県の大村海軍病院に入院した。そこには原爆で重傷を負い孤児となった子たちがいた。顔にやけどの跡が残る子、片腕がない子、髪の毛がごっそり抜けている子……。 痛ましい姿だが院内を元気よく走り回る。
>「兵隊さんはどこから帰ってきたの?」と、長崎さんにすっかりなつき、毎日一緒に遊んだ。
>しかし1カ月後、長崎さんの退院を誰も見送りに来なかった。その時はひどく落胆したが、後になり孤児たちの気持ちに気づいた。
>友達だと思っていた兵隊さんが一人だけ家族の元に帰っていく。
>「裏切られたような気がしたに違いない」と。
>20年ほど前、かつての海軍病院を訪ねると、 病院は新しくなり孤児たちの行方は分からなかった。
>「もう生きていないのか」とも思うが「消息を知らせる便りが来るかもしれない」と、 「汽笛」の巻末には自宅の住所を載せている。
>病床の長崎さんは声を振り絞り「生きている喜びを知らない子どもたちがいたことを、今の子にも知ってほしい」と話す。
>上演後のあいさつでは、何度も練習してきた「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という、 宮沢賢治が「農民芸術概論綱要」に記した言葉をしっかりと伝えるつもりだ。
・・・長崎源之助は児童作家としては「誰もが知っている」という人ではないかもしれないが、それでも劇団四季のファミリーミュージカルに『むかしむかし象がきた』で原作を提供するなど、根強いファンを持っている。その著作の多くは、フォア文庫などで今でも読むことができる。
・・・絶版ではあるが、子供の時に呼んだ「おねえちゃんはしゃしょうさん」という絵本が印象的だった。学校を出てバス会社に就職した姉の働いているところを見たくて、小学生の弟がバスに乗る話。あとで姉にしかられるのだけれど、その「見たい」という気持ちがよくわかったので、今でも覚えている。そうだ、小さい子供の気持ちをすくいあげるような童話を書く人だ。
- 作者: 長崎源之助,岩崎ちひろ
- 出版社/メーカー: 新日本出版社
- 発売日: 1971/10
- メディア: 単行本
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・・・もう一冊紹介するとすれば、これだろうか。
雪の日に、仲間はずれにされている男の子がつくった雪の怪獣・ゆきごんが、つかのま男の子の「友」となり、やがて去っていくまでを描いた本。