『靖国』と『プライド』をめぐる「くそみそテクニック」
・・・「サヨクは『靖国』の上映中止を要求されると『言論の自由の侵害だ』と怒るくせに、以前『プライド 運命の瞬間』については上映中止を要求したではないか。ダブルスタンダードだ(`∀´)」などというアフォウな言説がネットで見られる。
確かに「プライド」については上映中止の運動もあったが、
▼『プライド』公開前後の報道
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20080408
最初に紹介したような言説は、本来は異なる問題をごっちゃにする、「くそみそテクニック」というやつだ。
・・・稲田議員や害戦車の人たちが批判されているのは、靖国の上映中止を要求したからではない。
稲田議員の場合は単に自分が気に入らないという理由だけで、議員の特権を乱用して無意味な上映会を開き、火のない所に「炎上」を仕組んだことが問題だ。(靖国神社を批判することは、「日本国」においてはまったくの自由である。日本国は靖国神社に代表される大日本帝国主義の否定の上に存在しているので、「靖国を批判的に見る映画」に文化庁が援助することもなんら問題ない。また『靖国』自体、靖国神社を「批判する」スタンスの映画とは言い切れないところがある。おもしろいから撮ってみました、みたいな?)
害戦車の人たちの場合は、威力業務妨害や脅迫を繰り返していることが問題だ。(@∀@)「上映中止を要求する」ことを問題視されているのではない。
・・・一般に、ある映画に対して言論をもって「上映中止」を要求することは、言論の自由を阻害するものであるとはいえない。次のような事例があるからだ。
▼wikipedia「アスペルガー症候群」
>2001年5月にソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント (米国)が「アスペルガー 死の団欒」と名づけて発売する予定だった外国映画(原題は「Absence of the Good」、1999年のアメリカのテレビ映画)が、抗議を受けて発売中止となった。原題にはアスペルガーという単語は使われておらず(直訳しても「良心の不在」程度にしかならない)、登場人物にもアスペルガー症候群らしい人物は存在しないと考えられる。・・・
▼異常犯罪ビデオの邦題に「アスペルガー」! 抗議で発売中止に
http://www.nucl.nagoya-u.ac.jp/~taco/aut-soc/share/share21.html
>映画配給会社「ソニー・ピクチャーズエンタテインメント」が、米国制作のビデオ映画に「アスペルガー 死の団欒(だんらん)」という邦題を付け、関係者の抗議で発売を中止する騒ぎがありました。
>朝日新聞の4月12日付朝刊によれば、同社は連続殺人事件を描いたサイコスリラー映画 = 原題は「absence of the good」(良心の不在) = に、内容とまったく無関係に「アスペルガー」の邦題を付け、5月に発売する予定でしたが、広告をみた人からの指摘で発売中止を決めました。同社の担当者は「ゴロのいい邦題を考える過程で、社会で取りざたされていた病気の名前を使ってしまった」と話しており、ビデオ数千本は廃棄処分にしましたが、予告編が入った数千本については回収できないそうです。
>同社の広告には「アスペルガー症候群とは精神的発達障害の一種。他人の受けた痛みを共感できず、特定の物事に異常に執着することを特徴とする」とあったそうです。高機能自閉症の少女を主人公にしたドラマ「君が教えてくれたこと」の監修者を務めた中京大の辻井正次助教授は「ドラマの制作の皆さんは社会への影響についてあらゆる可能性を考慮して作品を仕上げてくれたし、昨年の豊川事件のときも、報道機関の方々がかなり神経を使って報道してくれた。それに比べ、こうした無神経な企業姿勢にはあきれてしまう。こんなことがあるから親御さんたちは無用な不安を感じてしまう」と話しています。 ・・・
・・・ことほどさように、ある映画に「上映中止」を言論をもって要求するのは別に問題があるわけではない。場合によっては必要なこともある。そしてそれに従うかどうかは映画関係者の自由だろう。
だが『靖国』をめぐる事態は、そういう問題とはまったく異なるのだ。
・・・「サヨク」が『プライド』を上映する映画館に害戦車でのりつけて威力業務妨害を行ったことがあるのか?映画館の人に身体的危害をくわえると脅迫したか?議員が公費で無意味な「上映会」を実施させたか?映画館のスクリーンをカッターで切り裂いたか?(@∀@)
愛国ネチズンの言うことは一事が万事このとおり。
そもそも、『プライド』の上映中止要求が「言論の自由」の侵害だと言い張るなら、『靖国』上映にも中止を要求するんじゃねーよwww