・子供たちを性的搾取から救う・・・そのこと自体にはまったく賛成です。ですが、その手段として「マンガ・アニメの取り締まり」を選択することには、反対の意志を表明します。
その理由の第一は、単純な優先順位の問題です。児童ポルノの被害をなくすためには、「現実の子供たちを性的搾取から救うこと」にすべてのリソースを投入すべきです。「マンガ・アニメの取り締まり」などという、費用対効果のあやふやな作業にエネルギーを浪費するべきではありません。それはむしろ「現実の子供を性的搾取から救うこと」をサボタージュするに等しいことです。
いま仮に、100人のNGOスタッフがいるとしましょう。また、彼らが児童の性的搾取を摘発するために活動すれば、1年間に100人の児童を性的搾取から救うことができると仮定しましょう。ここで、100人のうち50人のスタッフを、「マンガ・アニメの取り締まり」のための作業にまわすことになれば、いったいどんなことが起きるでしょうか?・・・なるほど、一部のマンガやアニメは社会から追放されるでしょうが、それが現実の子供たちを何人救うかは検証不可能です。確実なことは、性的搾取から救われるはずだった50人の児童が放置される、ということです。・・・これでいいのでしょうか?
そもそも 「マンガ・アニメの取り締まり」が、児童の性的搾取を救うために、どれほどの意味を持つのか?・・・それは日本ユニセフ協会の資料を読んでも「わからない」というしかありません。
http://d.hatena.ne.jp/claw/20080326#p1
ならば、まずは現実の児童を救うことに全ての努力を投入すべきです。
・子供の精神は、かれらの眼前に展開する現実によってこそ、もっとも影響を受けるものです。現実の社会に厳然と存在する各種のセックス産業を放置しておいて、微々たる影響力しか持たないマンガやアニメを取り締まったり、口先だけの空疎な「道徳」を子供に押しつけたりしても、あまり効果はないでしょう。
・それにしても「小説」がスルーされているのは妙な話です。中高生に人気のあるケータイ小説も、たまにはガマンして読むべきです。(@∀@)