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『東京少年』を書店に注文した。
『東京少年』・・・というと、笹野みちるがいたバンドを思い出すという人も
いるかもしれないが、
これは先月31日に出た作家・小林信彦氏の小説のタイトル。(新潮社・1680円)
私は彼の大ファンで、今でも彼のコラムを読むためだけに『週刊文春』を毎週手にしたりして。
小林氏は、往年の「ヒッチコック・マガジン」編集長、20世紀アメリカ映画に関するマニアックな評論家、
青島幸男や谷啓とともに日本のバラエティ番組を創造した構成作家の草分け、
渥美清・横山やすし・植木等ら日本の喜劇人に関する優れた評伝の作者・・・
として知られる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%9E%97%E4%BF%A1%E5%BD%A6
マニアックな事を言えば、宮崎駿の参加した映画『長靴をはいた猫』で、
「ギャグ監修」の仕事などをしておられる。
私は中学生の頃、彼の小説を『怪人オヨヨ大統領』シリーズで読み始めたので、
当時は「狂ったようなギャグの連続で笑わせる作家」とばかり思っていた。
しかし彼の初期小説『冬の神話』についていえば、これは戦時中の学童疎開での
子供同士のつぶしあいという暗い記憶を描いた作品で、彼の小説の「暗さ」の魅力が、大人になるにつれて
理解できるようになった。
http://homepage1.nifty.com/kansyu/kobayasi/ (著作リスト)
氏の最高傑作はおそらく『ぼくたちの好きな戦争』ではないかと思われる。
hatena-22/ref%3Dnosim/250-5059891-1545847
「喜劇として太平洋戦争を描く」というアクロバットで、また実際に
無数のギャグや奇想がちりばめられた作りではありながら、
読後におしよせるかなしみは形状のしようがない。
今回の作品は、1944年、疎開先での生活を題材にした自伝的小説だとかで、おそらく初期の小説『冬の神話』でのテーマをより拡大したものになっているのではないか。ちょっと楽しみ。