▼F・ムンテヤーヌ『一切れのパン』
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Sakura/4493/hitokire.html
>第二次世界大戦中、「私」の祖国ルーマニアはドイツと同盟を結んでいた。
隣国のハンガリーもドイツの同盟国であったが、「私」は、その首都ブダベストの水運会社に勤め、ドナウ川を行き来する艀で働いていた。
ある日、二週間振りに帰港した「私」は、妻の待つ家に帰る暇もなく、突然船中に乗り込んで来た水上警察の手で拘引された。
「私」には、その理由が分からなかった。
警察の一室で、警官と若い中尉から国籍についての簡単な尋問といわれのない侮辱を受け、そのまま地下室の暗闇に投げ込まれた。
そこには、「私」と同じような仲間がいた。
そして、一週間前にルーマニアが、友邦であるドイツと絶縁しソ連側と手を結んだ為に、敵国人として逮捕されたのだと教えられた。
仲間たちは、2日間何も食べ物を与えられていなかった。
それを聞いて「私」も、船の仕事が忙しくて朝食も採っていなかった事を思い出し、飢えが急にひしひしと迫ってくるのを感じた。
翌日の夕方、「私」たちは、食事も与えられず、行き先も知らされないまま、窒息しそうなほど息苦しい貨車に押し込まれて駅を出発した。
・・・
・・・昔、中学校の教科書に掲載されていた物語。
教科書にふさわしからぬ息詰まるサスペンス。
そして痛みすら感じさせる飢餓感・・・