前回http://d.hatena.ne.jp/claw/20090707#p3のつづき。
▼【産経抄】7月8日
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090708/chn0907080308001-n1.htm
>ウルムチの暴動で亡くなった人々の数に慄然(りつぜん)とする。中国建国当時、新疆ウイグル自治区の人口の7%程度だった漢族は今や4割をはるかに超えている。しかも、就職や教育をはじめ耐え難い少数民族差別がある。中国の新聞やテレビが、戦時中の日本のように一糸乱れず、「海外の独立派組織が 扇動した事件」と大々的に報じているのは、胡散(うさん)臭い。
・・・珍しいね。産経新聞が戦時中の大日本帝国のことを「一糸乱れず」「うさんくさい」存在であると認めるなんて(@∀@)
>現地では理由も告げずに警察が多数のウイグル族の住民を連行しているという。残された子供も心配だ。
>黒柳徹子さんやアグネス・チャンさんら人権擁護に熱心な芸能人や文化人のみなさんも中国政府に自制を求めてはいかがだろう。及ばずながら小欄も助太刀させていただくが。
・・・この最後がかっこ悪いね(@∀@)
中国の少数民族政策にむかついたんなら抗議は自分でやれと。(これで黒柳徹子やアグネスが実際に中国に抗議をはじめたらどうする気なんだろうw) だいたい中国相手に「抗議」が何か意味を持っているとホンキで考えるのは、あまりにも「お花畑」な発想ではないだろうかw
・・・ウイグル族のやすらかな生活のために、いったいいかなる行動が意味を持つのか。軍事的な手段、暴動による混乱でどうにかなると考えるのも「お花畑」の一種であろう。
・・・この問題が難しいことは、次のような例を考えればわかる。「大和民族に蹂躙された琉球を、日本やアメリカの支配から独立させるにはどうしたらいいか」「同じく、アイヌを日本の支配から独立させるにはどうしたらいいか」 ここで「日本は琉球にいいこともした」とか「アイヌは日本に同化して昔より生活が豊かになった」とか、まるで中国の「愛国者」のようなことを言うのはやめるべきだ。沖縄とアイヌの生活水準や所得水準は、日本の平均的なそれよりも低い。
そういえばウルムチの漢民族には「ウイグル族の奴らは官公庁への就職に優先枠がある」などと不満を述べる者もいるようだが、これは「在日特権を剥奪しろ」という日本の自称「愛国者」ともクリソツな。たしかに新疆ウイグルに住む漢民族の彼らも政府の政策破綻の犠牲なのだと言うことは可能だ。大日本帝国時代に満州や朝鮮・台湾に送り込まれた日本の貧困層同様に。しかしその不満をウイグルに向けても解決はしない。格差に対する是正政策を「特権」と呼ぶこともできない。
▼ウイグル暴動 深い溝 『民族融和』遠く 『ウイグル族の命を軽視』
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2009071002000065.html
>大規模暴動をきっかけに、中国新疆ウイグル自治区では漢族とウイグル族の対立が一気に先鋭化している。漢族が「新疆を発展させた漢族への恩を仇(あだ)で返すのか」と批判すれば、ウイグル族は「漢族と当局がともにウイグル族を悪者に仕立てている」と反論する。政府は「民族融和を」と呼び掛けるが、両者の溝が埋まる気配はない。
・・・ネイティブアメリカン、ファーストネーション、チェチェン、チベット、アボリジニ、イヌイット、クルド、他の事例を見ても困難は明らかだ。どのようにすれば彼らはやすらかな生活を手に入れることができるのか。大日本帝国のような特攻・玉砕精神では滅亡が待っているだけだ。
・・・ウイグル民族独立運動代表のラビア・カーディルのことを考えてみよう。洗濯業→小売業→不動産業→貿易と事業を拡大し、一時は国連の世界女性会議で中国代表になったこともある彼女は、政治的なスタンスがどうあれ、やはりひとかどの人物であるといえよう。いわゆる「ユダヤ人」のように、あるいは華僑のように、でもいいが、彼女のようなウイグル人が世界に散りながらカネを積み上げ、やがて経済的な支配力を通じて故郷を買い戻す・・・そういう『スティール・ボール・ラン』のサンドマンのようなヴィジョンを描くことは不可能だろうか。「敵を倒すために敵の力を使う。そういう考え方だってあるんだ。」
・・・とはいえ、人はつねに目の前の事態に対応しなければならない。この話は続く。