・・・『モーレツ!オトナ帝国の逆襲』は、自分勝手に再構成した「過去」を賛美して人々の未来を閉ざそうとする敵を、家族という「現在」が阻止する物語だった。
『河童のクゥと夏休み』では、家族はすでにそのような力を持たない。明確な意志決定もできないまま、よくある日常に流されて、次第に事態を悪化させてゆく。それは実に「よくあること」で、他人事には思えない。とりかえしのつかない悲劇が引き起こされたあとで、登場人物の一人がもらす悔恨の言葉は、だから観客の胸に突き刺さる。
今度の敵は「過去」ではなく「現在」だ。
ねばりつく状況を振り切って未来をめざすひたむきな意志、果敢な決断こそが、「現在」に立ち向かう力を持っていると『クゥ』は教える。
同様の問題意識を、ついに連載再開された『キーチ』(タイトルは『キーチVS』に変更)に読みとることができる。・・・