▼(過去記事)「回天」発掘運動が難航
http://mytown.asahi.com/miyazaki/news01.asp?kiji=4613
・敗戦から60年。戦争体験の風化が進む中、日向市の細島港近辺に埋まっている
人間魚雷「回天」を発掘しようと、地元住民らが取り組みを続けている。特攻兵器が
象徴する戦争の悲惨さを見つめ直そうという思いからだ。ただ、複数の証言がある
ものの、実在するのか不確かで、爆発の危険もあることから、作業のめどは立って
いない。細島港の入り江の波打ち際から30メートルほど入った山のふもとに、円形にえぐれ、
土や岩が崩落した場所がある。回天の格納壕(ごう)の残骸(ざんがい)だ。
奥行き約30メートルの格納壕は全部で九つ。うち六つに回天が2機ずつ収納されて
いたという。日向灘に攻めて来る米海軍に特攻する使命だった。「ここに埋まったままの『回天』があるはず」と、「人間魚雷『回天』の発掘と展示館建設を
助ける会」の福田鉄文事務局長は言う。戦後、回天の解体に携わったとされる複数の
人が「壕に埋まり廃棄できなかった回天があった」と証言しているからだ。「東から
二つ目の壕にあった」と具体的な指摘もある。
助ける会は今年3月に発足。4月に日向市に回天を発掘するよう申し入れた。自力で
現場の草刈りをしたり、重機が入れるように山道を拡張したりもした。だが、実際の発掘作業は容易ではない。
市の試算では、発掘費用だけで2600万円余りかかる。しかも約1・55トンの爆薬が
機体に残っている可能性があり、半径2キロに渡る地元住民の避難や交通規制の
必要もある。総費用は数億円になる見込みという。
5月には、西都原考古博物館が磁気探査機での調査を実施。だが、機体は確認できず、
市は6月、発掘はしない、と結論を下した。福田さんは「実在すれば貴重な資料。非人間的な兵器が存在したことを後世に残したい。
住民運動として理解を広げ、証言者が生きているうちに発掘したい」と話している。